ボルダリング上級者への道

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ボルダリングが上達しない!その主な原因と対処法 ~中級者が陥りやすい負のスパイラル~

 ボルダリングを始めて遅かれ早かれどんなクライマーでも遭遇するであろうスランプ。ジムに通っても通ってもなかなか自分の成長を感じられない。そんな経験クライマーだったら常日頃から経験するのではないでしょうか。筆者もボルダリングを始めてもうすぐ2年が過ぎようとしています。この2年という節目に自身の反省(というか筆者のガチの反省点)も含めて、これからの行動指針としてなぜこんなにもクライミング能力が上達しないのか考えました。

 

原因① 苦手課題を避ける

Hans / Pixabay

 クライミングを続けていく上で、体の構造や柔軟性、筋力の偏りなどからどうしても「苦手なムーブ」が出てきてしまうのは必然です。体なんて人それぞれ全く違うのですから。しかし、苦手な課題から逃げてばかりいるといつまで経ってもクライミングの総力は上がりません。例えばある人が5級でどうしてもできない苦手なムーブがあったのでそれを飛ばしたとしましょう。そして月日が過ぎて、3級程度のグレードをこなせるようになってきたとき、また同じようなムーブと遭遇します。5級の時に飛ばしてしまったので、そのムーブに対する力量は5級以下。3級ともなると同じようなムーブでも当然難度は上がります。当然その課題は完登することはできません。そのムーブができるようになるまで5級のときに努力しておけば、このようなことにはならないはずです。そしてその3級すらも諦めてしまうと、1級でさらに難度の高い苦手ムーブが出てくるともう手も足も出せません。こうやって「苦手ムーブ負のスパイラル」が醸成されてしまいます。

 このように苦手なムーブを避けているとそのムーブが出てきた時点でお手上げになってしまいます苦手と認識した時点で克服するための計画を立てるべきなのです。しかし、ここまでは通常誰でもやるレベルで、問題は次のステップ。自分の持てる総力をあげても出来ないものはちょっとやそっと努力したくらいでは中々克服できるものではありません。「あのムーブができないってことは~が足りない」と予測してトレーニングを積んだとしてもすぐには解決できるわけ無いのです。できない動きをできるようになるのはかなりの努力と期間を要します。一番早く結果を出すためにはその苦手ムーブだけを反復して行い、動きを自動化させることだと思います。しかも、左右対称な2パターンを交互にやることも大切です。課題中に出現する苦手ムーブはどうしても片側だけになってしまうので、そのムーブだけを重点的に反復した場合、ボディバランスが崩れてしまう恐れが出てきてしまいます。左はできるけど、右は苦手という新しい苦手意識を作ってしまうかもしれないのです。苦手なムーブに遭遇したら是非左右対称なパターンを反復して練習するようにしましょう。

 ちなみに、左右で得意不得意が出てくるムーブは特に苦手な方だけを重点的にトレーニングして狂ったボディバランスを早期に改善しなければなりません。特に普段ジムではあまり遭遇する機会のないマントリングなどは要注意!ジムではなかなかないので左右で得意不得意が認識できる場合、トップアウトの時もたついてしまいかねません。最悪の場合、課題の一番高いところからのフォールという最悪の事態を招きかねないので、できるだけ左右同等にできるようになっておくことが大切です。

 

原因② 基礎トレーニングをしない

skeeze / Pixabay

 クライミングの基礎的なトレーニングをしないのもかなり問題です。基礎トレーニングといってもストレッチなどの柔軟性の改善や、部位別筋肉トレーニング基礎体力を上げるためのランニングなど非常に多岐にわたるため、日曜クライマーにとっては若干敷居が高いのかなと思います。最初の1年はクライミングそのものが1番のトレーニングなのですが、2年目に入り、当初経験したことのなかったような壁に当たることが多くなってきます。最初の1年である程度登りこんでいるなら、基本的なムーブは体に染みついているでしょうから、その上でできないことはフィジカルに足りない部分があることが多いようです。例えばぶら下がるので限界なカチを持って強傾斜で体を引き付けるようなムーブではテクニックはもちろんのこと基礎的なオープンハンドでの保持力や、その上での上腕二等筋との連動性が不可欠です。こういった場合、オープンハンドでの保持力を鍛えるしかありません。ジムで課題にトライしているときカチ持ちを多用してしまっていたりすれば、基礎的なオープンハンドでの保持力は向上しません

 

原因③ ストレッチを軽視している

evitaochel / Pixabay

 筆者もそうなのですが、ジムに着いたら早く登りたい一心でストレッチはちゃちゃっとやって、簡単な課題でウォームアップと称して登り始めてしまいます。しかしこの行為、筋肉が温まっていない状態で急に高い負荷の動きを要求するので、筋を痛めてしまいがちです。特に指の筋は体が温まっていない状態では簡単に限界を超えてしまいます。完全にパキらなくても若干違和感が残るくらいの痛め方は簡単にしてしまいます。クライミングでは最速の上達法は「怪我をしないこと」と言われるくらい怪我に対しては敏感なスポーツです。怪我をしてしまうと、その怪我を庇いながらクライミングしなければならないので他の部位を痛めてしまうことが非常に多く、二次曲線的にクライミング能力が低下していきます。もちろん筋力も不均等に使用してしまいますので、ボディバランスの悪化につながります。

 つまり、怪我をしないためのストレッチとしてストレッチをしていないのです。本来はストレッチだけで体が温まるくらいまで続けなければならないのですが、分かっていても時間的制約が多い現代のサラリーマンクライマーにとってはできないことが多いのも事実。とりあえずはいつもより5分間だけ長くストレッチをしてみようというくらいでストレッチに少しだけ重点を置いてみましょう。筆者も今年は故障・怪我に悩まされた1年だったので、クライミング前のストレッチは入念にしたいと思います。

 

原因④ トータルバランスを意識していない

Alexas_Fotos / Pixabay

 クライミングで最も重要なのは体の連動性、体全体をいかに1本のバネとして動かすことができるかだと筆者は常に感じています。だからこそ、自分の体の連動性の無さには愕然とするばかりです。上半身に集中すると下半身がおろそかに、下半身に集中すると上半身がおろそかになってしまいます。ランジやデッドポイントが苦手なのはまさにここに原因があるのでしょう。一瞬で完結してしまうムーブでは体の連動性の無さがモロに露出してしまいます。自分に足りない部分の部位別トレーニングをしてもクライミングではいきなり進歩を感じることは少ないのではないでしょうか。トレーニングし、部分的に強くなったとしても、それを生かすための周辺の筋肉との連動性が果たせない限り、まったくもって強くなった部分の強さを引き出すことができないのです。筆者も経験があるのですが、あまりにもカチを持てなかったのでトレーニングボードでカチの保持力を鍛えたことがありました。すると、カチの保持力は何となく向上してきたのを実感したのですが、そこから出れないのです。結局そこから体を引き上げるのは上腕二等筋であり、カチの保持に全力を使っているのでそこから腕を曲げる動作に行きつかなかったのです。なのでトレーニングして自分の弱点を克服しようとするのはいいのですが、その後必ず実登を経て筋力の連動性を最適化する必要があるのだと思います。

 

原因⑤ 間違ったトレーニング

Tumisu / Pixabay

 クライミングにおいて足りないものを補うトレーニングは必要と言いましたが、ただ漠然と筋力を上げるために腕立てをするとか懸垂をするというトレーニングは逆効果を生みやすいのも事実です。つまり、つける必要の無い筋肉をつけてしまう行為は体重を増やすだけでクライミングにおいてはあまり意味を成さない、ということですね。人によってトレーニングが必要な部位は千差万別です。たとえば筆者のようにショートリーチクライマーは射程距離を増やすためにロックオフトレーニングを取り入れたり、足がより遠くに届くする・ランジの振られを最小限にしたいがためにオフセットハングを取り入れたり。自分に合ったトレーニングを過不足なくしなければなりません。もちろん自分に完全に適合したトレーニング方法を自分だけで確立することは不可能に近いと思います。自分に足りていない部分を明確に把握できるのであれば、誰でも最短の期間で上達することができるでしょう。時には間違い、修正しながら強くなっていくしかないのかなと痛感しています。

 

原因⑥ 壁を選ぶ

geralt / Pixabay

 原因①の苦手ムーブと被りますが、大変重要だと感じていることですので敢えて記そうと思います。クライマーは誰でも苦手な壁があると思います。パワー系クライマーだったらスラブ・垂壁などは自慢のパワーを発揮できないバランシーな課題が多く苦手と感じるでしょうし、バランシー系クライマーはフィジカルが重要になってくる強傾斜・ルーフは苦手に感じるかもしれません。筆者はどちらかというとバランス系が得意なのでスラブ・垂壁を好んでしまい、最高グレードの更新はいつもそれらの壁でした。特に今年は腰を壊してしまい、半年ほどルーフ・強傾斜は体幹をフル活用し、腰に負担をかけるのでほとんど触れてもいませんでした。最近少しずつ復調してきているので強傾斜も少しずつ触るようにしているのですが、愕然とするくらい全く登れなくなってしまっています。

 ジムはトレーニングの場だと位置づけるのであれば、1日のジムワークにすべての壁にトライしなければならないなとつくづく感じています。すべての壁を触り、様々ポジショニングでの体の連動性を磨きあげることによって体をしなやかな1本のバネのように動かせるようになるのではないでしょうか。

 

原因⑦ 一つの課題に固執する

rmac8oppo / Pixabay

 原因①の「苦手課題をさける」と矛盾しているような気もしますが、少し違います。あと一歩でできそうな課題をどうしても完登したい、その為ずっとその課題ばかりやっているという状況を指しています。特に外岩などの場合、その課題の周辺に狙っている課題が無い、移動するのも面倒、この課題あと少しだから頑張ろうという気になってしまい、終日同じ課題にトライするということが多い方は要注意!!まさに筆者のことなのですが、一つの課題に集中しすぎることはフィジカル的悪影響も考慮するとあまり良いものではありません。自分の体にとって過負荷となる動きを何十回と繰り返すのです。そのうち、筋肉痛どころではない痛みが襲うことでしょう。一度痛めた個所はなかなか治るものではなく、同じ課題にトライする限り完治しません。そういった場合、一度諦めてしまうことが精神衛生上大変好ましい結果を産むことが多いと思います。

 筆者の実際の経験なのですが、ある課題をどうしても攻略したくて足しげく通いました。1度核心は難なく超え、リップでまさかのフォール。その経験から「この課題はいける」と確信しました。が、行けども行けども中々攻略できず、次第に体の特定の部分が悲鳴を上げ、行くたびどんどんできる気がしなくなってしまいました。到達高度も下がる一方で、精神的にも参ってしまい、まさに「心と体の負のスパイラル」に陥ってしまったのです。目の前で幾度となく完登を見送って、痛めて満足に動かなくなった体を呪ったものです。しかし、一度割り切ってその課題から離れてみることで意外にも他の宿題となっていた課題は完登ラッシュ!色々なタイプの課題に触り、気分もリフレッシュ。自身もそこそこ取り戻し、失いかけていたクライミングに対する情熱を取り戻すことができました。先輩クライマーからも「一つの課題にこだわらず、いろんな課題に手を出してみればそれだけで引き出しは増えるから」という言葉を信じて正解でした!

 

 

まとめ

 我々日曜クライマーにとってクライミングとは楽しんでナンボの趣味でしかありません。しかしながら、思いっきりクライミングって楽しい!って思う瞬間はつらく苦しい試練を乗り越えた時だと思います。余裕でできる課題ばかりに取り組んで、それが楽しいと感じたとしてもクライミングの一番面白いところを取りこぼしているようなものですね。今の筆者も故障を理由にエンジョイクライミングに傾倒していますが、いつかはこれらの問題点を改善し、次のステージ、次の世界を見たいと心から願っています。早く故障を直して全力で全身全霊をかけてクライミングに邁進していきたいと思います。

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