クライミングを始めて早9ヶ月。初めて購入したのはスポルティバ”ミウラ”。クライミングの「ク」の字も知らなかった当時の自分にしては我ながらナイスチョイスだったと感じております。インドアクライミングでも外岩でも遺憾なく発揮してくれた類稀なるエッジング性能。週3回を超えるハードな使用にもヘタることなく頑張ってくれたミウラ。しかし、骨折による長期レストの中、にわかに2足目への興味が沸きに沸き上がり、調べに調べ、遂に購入してしまいました。憧れのスポルティバ”ソリューション”。骨折する前にちょうど3級の壁に行き詰っていたので、その壁を越えるためにもトレーニングとギアの一新を同時進行で行うことにしたのです。
私事で申し訳ないのですが、私の妻がプレゼントしてくれました。骨折により長期間クライミングができず、鬱になっていた私を見かねて元気が出るようにとの粋な計らい。持つべきものは「友」改め、「夫の趣味に理解を示してくれる妻」でございますね。ノロケはこれ位にして本題に入りましょう。
スポルティバ・ソリューションの特徴
①スポルティバ史上最強のヒールフック性能
このシューズを見て最初に目に留まったのがやたら丸っこいワンピースヒールカップ。この丸みは一見ヒールフックが決まりにくいようにも見えます。ミウラは少し段が付いていて、「ここにかかるのか」というポイントが一目瞭然。それに対しソリューションを見ると丸っこく、段差もなく、素人感覚では「かかりどころがない」ヒールカップ。しかし、これがいいのです。ヒールカップの丸っこさは全方向からのヒールフックに効率よく対応してくれるのです。つまり、きつい角度のヒールフックでも確実にホールドを捉える事ができます。そしてヒールフックが決まった後の動作も全方向にできるので、ムーブの幅も広がることでしょう。
②強傾斜の強い味方、強烈ダウントゥ
見ての通り強烈なダウントゥで、強傾斜の正対姿勢で体が剥がされるリスクがかなり軽減されるはずです。トゥをホールドに突っ込んだり、壁とホールドの間に突っ込んだりしてトゥで踏ん張れるのです。今まで足が切れていてパワーロスをしていた課題、ガッツリ張り付いてスタティックにクリアできるかもしれません。欠点はやはりスラブ。ダウントゥのP3システムであるが故に足裏感覚が弱く、スラブ特有のチップには少し弱いかも。スメアリングはめっぽう弱いので、そういう課題はフラットタイプと使い分けが必要かもしれません。
③ダウントゥの形状を長期間維持できるP3システム
スポルティバ”ミウラ”もダウントゥのシューズではあるものの、使い続けるとそのアーチは崩壊し、限りなくフラットソールに近づきます。その点ソリューションはダウントゥの形状を長期間保持できるP3システムを採用しています。このP3システムとはダウントゥ部分に硬いプラスチック(みたいなモノ)を入れ、ハードなクライミングを長時間続けても形が崩れないようにするテクノロジーだそうです。このP3システムを採用しているシューズはピッタシサイズで購入すると良いとのこと。その理由は、通常のシューズは足とシューズを一体化させて剛性を確保するのるためキツめのシューズを選ばないといけないのですが、P3システムの場合、その剛性をシューズ本体にインストールすることによって確保しております。そのため、ギチギチにきついシューズをチョイスしなくても剛性を確保することができるそうです。
④レースアップとベルクロのメリットを融合
レースアップシューズのようにクライマーの足の形状にジャストフィットするのに使用感はベルクロ。つまり、”ミウラ”と”スクワマ”の良いところだけを融合させたようなフィット感。レースアップシューズのトゥフックのやりにくさが消え、ベルクロのフィット感の無さをカバーした最新技術の集大成。2007年に発売されてから、このメリットだらけのデザインを凌ぐシューズはないのではないでしょうか。ただ一つ弱点を挙げるとするなら、ヒモの部分が切れてしまうとレースアップのように交換できないので修復困難となるところ位です。
⑤程よいターンイン
真上からシューズを見て親指側に大きく曲がっているような形をターンインと言いますが、これは親指側に力を集約させしっかりと立ちこむためのデザインです。”ソリューション”は”ミウラ”等と同じく程よくターンインしており、つま先にしっかり力を集中させることができインサイドやつま先での立ちこみにはかなり強いです。しかし、アウトサイドエッジが若干使いづらくなるので、繊細なフットワークを要求されます。
スポルティバ・ソリューションの注意点
メーカーサイトで確認することができるシューズの性格をグラフで可視化した「chart」。ここで「理想サイズ」を見てみましょう。数値が低いほどキツめ、数値が高いほど広めを推奨しているそうです。ソリューションは5点中、4点。つまり若干ユルいくらいでサイズを選ぶと良いようです。クライミングシューズで若干ユルいという表現は難しいのですが、「ピッタリで長時間履いていても痛くならなそう」位の感覚でしょうか。筆者はスポルティバ・ミウラで「41」(←かなりキツめ)、ソリューションで「41ハーフ」(←ピッタリ)を選びました。
詳しくはスポルティバの公式サイトをご覧ください:La Sportiva(Solution)
また、特徴的なベルクロは若干使用方法に注意点があります。これを守らなければ破損につながる恐れがあるので使用方法をしっかり守って天寿を全うさせましょう。実際に間違った使い方によって再起不能になったかわいそうなソリューションが多数存在するようです。私も折角妻にプレゼントしてもらったので末長く使っていくために正しい使用方法を守りたいと思います。詳しくは下記のサイトをご覧ください。
まとめ
いかがですか?皆様もソリューション、欲しくなったのではないでしょうか?初心者の方は扱いづらいシューズであるかもしれませんが、自分の実力の足りない部分を少しでも補おうと考えている方には絶賛オススメの一足です。今回購入したのはソリューションの旧バージョンですが、新バージョンと性格が少しだけ違うとクライミングジムのオーナーがおっしゃっていました。旧バージョンのほうが若干柔らかめで、足首も動かしやすく、なじむのが早いそうです。新バージョンは履きこんでからがオイシイところで、最初はなじむまで扱いづらいんだとか。今回デッドストックの商品を安価でゲットできたので大変満足です。買ってくれた妻に感謝の一言です。さて、お返しは何にすべきか(苦笑)