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    Categories: トレーニングムーブ解説

ボルダリングにおけるリーチ問題克服のススメ (第2回:PDCAの実践)

 第一回では物理的なリーチの重要性を解説しました。今回はリーチ問題克服への第一歩、原因を確実に突き止め、効率よく問題改善するためのPDCAを筆者の事例を元にご紹介します。

 

 

PLAN(計画)

ここでは目標を設定し、その目標達成のために何をすべきか計画を立てる段階です。いうまでもなく一番重要で基幹となる部分です。

 具体的にはまず何ができないのかを確実に把握し、できればその動画を撮影してもらい、第三者視点で分析します。ここで何が自分に足りないのか仮説を立て、それを改善するためにはどのような対策が立てられるのかを紙に書き出します。クライミングのリーチ問題に関しては、①ムーブの改善・②ある特定の部位のフィジカル強化・③柔軟性の確保のどれかになると思いますので、できるだけ詳細に原因を追究しましょう。できないことの原因が直接的には物理的リーチにあったとしても、それを解決するための方法は千差万別なので、リーチ以外に何が足りないのか良く考えましょう。それを改善するためのトレーニング方法を考えるなりネットでググるなりで具体的に明文化します。ここで重要なのは期間などの時間的な概念を盛り込むことです。原因によってかかる時間が異なってくるのであくまで筆者の場合ですが、下記のような期間でPDCAサイクルを回しています。

①ムーブが原因として仮説を立てる場合:1週間程度

②フィジカルが原因として仮説を立てる場合:1か月程度

③柔軟性が原因として仮説を立てる場合:3か月程度

 

 

DO(行動)

PLAN(計画)を基に実行します。

①ムーブが原因として仮説を立てた場合

 この場合は最短で1日で結果がでることが多いので、比較的サイクルを回しやすいです。しかし、筆者がいつも躓いてしまうのが、この段階でムーブの引き出しがないこと。自分の体格に適合する正解ムーブに辿りつかないことが多いです。一回のクライミングで試すことができるのはそう多くはありません。クライミング開始からどんどん体のコンディションは悪くなるので、事前に試したいことのイメージトレーニングが重要になってきます。ここでオススメなのが以前紹介した携帯アプリ“Bouldering Recorder”(ボルダリングレコーダー)。課題を携帯電話で撮影しヒマな時にムーブを考えることの手助けをしてくれます。

 

②フィジカルが原因として仮説を立てた場合

 計画したトレーニング案を実施します。この段階では結果を焦ってはいけません。とにかく計画通りに行うことを念頭に継続することが大事です。この段階で怠っていては本当の原因も分からず、もちろん結果を出すことはできません。自分の仮説の真偽を確かめるためにも焦らずしっかり、計画通りに遂行しましょう。ここで気をつけなければならないことは、クライミング以外でトレーニングをして身に付いた筋力は、クライミングですぐに威力を発揮することは困難ということです。たとえば鉄棒で懸垂をガッツリやって上腕二等筋が立派になっても、カチをもって体を上げようとしても全然上がらないはずです。この上腕二等筋の筋力をいかんなく発揮するにはカチ力を鍛えなくてはなりません。つまり特定の部位を極端に鍛えても、その力を発揮するにはさらに実際のクライミングですり合わせしなければならないということです。

 

③柔軟性が原因として仮説を立てた場合

 柔軟性は一朝一夕に身に付くものではなく、長い年月をかけ徐々に育んでいくものだと筆者は思っています。なので、これこそ本格的なPDCAが必要で、しかも結果に結び付くまでに時間がかかるため、非常に継続が困難なトレーニングです。柔軟性が問題とする場合の多くが足技だと思います。例えばハイステップ、手に足、キョン、狭い場所でのヒールフックなどですが、その殆どがある程度の体の柔軟性が必要です。女性は男性に比べ、比較的体の柔軟性が豊富な方が多いので、そういった足技系が得意な方が多く見受けられます。女性の強さはまさにそこから来ていると思われ、非常に有力な武器の一つです。

 柔軟性が原因としてPDCAを実行する場合、特定部位だけの柔軟性のアップを図るのではなく、全身のバランスを整える静的ストレッチの一種である「筋膜リリース」から始めましょう。これも詳細は今後ブログで取り上げていきたいと思っていますが、筆者は1カ月ほど「筋膜リリース」に取り組んだだけで下半身の柔軟性が格段に改善しました。これで全身のバランスを整え、プラスアルファで気になる部位のストレッチを加え、クライミングにおける苦手系のムーブを克服しようと日々努力しています。 

 

 

 CHECK(検証・評価)

PLAN(計画)どおりにDO(行動)できたか、結果に結びついたかを検証します。

 長期的なPDCAではここがクライミングになります。できなかった課題に再度トライし、着実に進歩しているかどうか確認します。もちろん一発で結果を出す必要はありません。ただ、少しでも進歩しているかどうかは確認しなければなりません。前回よりも少しだけ遠くに手が出たとか、前回は触れもしなかったが、今回は触ることができたetc…。ここで成果無しでもPLANで立てた計画の期間はDO(行動)を行いましょう。

 

 

ACTION(改善)

検証結果を踏まえて、課題の解決策を考えます。

 さらに何をすれば問題の解決に結びつくのかを考えます。まったく意味がなかったり、問題の改善が全く見られない場合は、次回の計画は全く違うものにする必要があります。その判断もこの段階では重要なポイントです。①ムーブの改善などは比較的早期に判断がつくと思うのですが、②フィジカル・③柔軟性の2点では結果に結び付くまでかなりの時間を要してしまいます。もちろん判断も難しく、あまりにも早く結論を出してしまうと本当の原因をつぶしてしまいかねません。続行か中止かの判断は慎重に行いましょう。

 

 

まとめ

 今回はPDCAのサイクルがどのようなものかザックリ解説しました。次回は筆者のPDCAサイクルを例に、具体的なリーチ問題の改善に取り組んでいきたいと思います。

kawaski7210 :サイト訪問ありがとうございます。管理人のHiroです。2016年1月からボルダリングを本格的に開始しました。一緒に上級者目指して頑張りましょう!!