ボルダリングは常に自分の限界に挑戦するスポーツなので、週三回もジムに行くと常に筋肉痛の状態であるといっても過言ではありません。そして常に怪我・故障と隣り合わせのスポーツです。その筋肉痛や怪我・故障、これらの体に現れる「異変」を正常な状態に戻す役割を担っているのが「睡眠」です。しかし、常日頃から忙しい生活を送っている現代人は睡眠に対する意識があまり高いとは言えないと思います。趣味と仕事を両立するため削るのは睡眠時間しかありません。今回は「睡眠」焦点を当てて詳しく掘り下げて自分の体を常によい状態にしましょう。
睡眠と超回復
超回復は以前ブログでも取り上げましたが、その超回復をもたらすのはもちろん「睡眠」です。超回復が完了するまでに48時間~72時間かかるそうですが、その中でも一番大きな役割を担う睡眠です。ここで重要なのが睡眠の時間ではなく、効率よくレム睡眠とノンレム睡眠を交互に繰り返し、どれだけ成長ホルモンを分泌させるかです。良く言われているのが「レム睡眠は浅い眠り、ノンレム睡眠は深い眠り」。実はこれって間違ってるんですね。それではここでレム睡眠とノンレム睡眠の違いについて理解を深めてみましょう。
①レム睡眠
「体を休めている浅い睡眠」と言われることが多いレム睡眠。これだけ聞くと体が回復するためにはレム睡眠が重要と思ってしまいますがちょっと違います。レム睡眠中は脳は活発に動いていて、前の日に経験した内容を思い出し、必要な情報と不必要な情報を整理し、思い出しやすいように目次づくりをしているといわれています。その記憶を思い出している最中に体が反射的に動いてしまわないように全身の筋肉を弛緩させているのです。特徴としては眼球が不規則に動いたり、脈拍や呼吸が不規則になることや、このタイミングで夢を見ているのです。つまり脳は起きていて体は完全に休息している状態をレム睡眠と言います。
②ノンレム睡眠
「深い眠り」といわれることが多いノンレム睡眠。これも少し誤解が含まれています。ノンレム睡眠にはステージ1(浅い)からステージ4(深い)まで段階があり、ステージ1のノンレム睡眠は脳波だけを見るとレム睡眠くらい浅いもので、ステージ3・4の深いノンレム睡眠は「徐波睡眠」と呼ばれています。そして、役割自体がレム睡眠とは異なり、「脳の休息と体の回復」のための睡眠と呼ばれています。今回重要視している「成長ホルモンの分泌」は入眠してすぐの徐波睡眠で最も多く分泌されるそうです。
③レム睡眠・ノンレム睡眠の周期
レム睡眠とノンレム睡眠の周期は45分刻みで周期的に訪れるので90分の倍数で睡眠時間を取ると良い・・・。よく言われていることですが、これも少し違うようです。この周期は個人差があり、一概に90分とは言い切れないので全体の睡眠時間を90分の倍数で考えないほうが良いようです。しかもストレスや疲れ具合、寝具や気温、その他外部環境によって左右されてしまうため、全体の睡眠時間にはあまりこだわらなくて良いでしょう。入眠直後の1~2サイクルで最も深い「徐波睡眠」が訪れるので、最低でも3時間寝れば1回の睡眠に分泌される成長ホルモンの過半数は分泌されることになります。入眠直後のノンレム睡眠が最も長く深く、睡眠の後半に近づくにつれ「徐波睡眠」の深さも長さも浅く短くなっていくので、成長ホルモンの分泌量も減っていきます。
質の良い睡眠を得るにはメラトニンが必須
メラトニンとは眠りに入る1~2時間前から分泌されるホルモンです。このホルモンが分泌されなければなかなか眠りにつくことが出来ず、もちろん深い睡眠も得られません。「成長ホルモン」を分泌する一番深いノンレム睡眠「徐波睡眠」に辿り着くことすらなく朝を迎えることもあり得るのです。そうなると超回復どころではありませんね。疲労感どっぷりで最低の朝を迎える羽目になるでしょう。現在メラトニンは薬品としても病院で処方されており、定期的な質の良い睡眠をとることによって自律神経失調症などの治療にも使用されます。
ボルダリングで疲労した体を効果的に回復する質の良い睡眠とは、「成長ホルモン」を多量に分泌する「徐波睡眠」の一回目をできるだけ深く、長いものにすることです。寝室の環境や、寝る前の習慣、寝具などの外部環境だけでその「徐波睡眠」の深さ、長さがまったく異なります。質の良い睡眠を得る「メラトニン」を分泌させるための重要な外部環境をまとめてあったので引用します。
(1)就寝前2~3時間は200ルクス以上の強い光を見ない
就寝前の眩しいほどの光は、メラトニンの分泌を妨げます。テレビやパソコンのモニターも明るすぎるので、どうしても見なければならない場合、輝度を落とすようにしましょう。部屋の明かりは間接照明にするのが理想的です。
(2)寝室の明かりは30ルクス未満にする
寝室に30ルクス以上の光源があると、メラトニン分泌が妨げられます。ロウソクの灯りでさえ15ルクス程度なので、蛍光灯などの照明をつけるのは避け、豆球だけにするなど工夫するとよいでしょう。
(3)就寝2~3時間前までに入浴しておく
人は体温が下がっていく過程で自然に眠くなっていきます。眠る直前に体温を上げてしまうと、メラトニンによる入眠効果が妨げられてしまうため、入浴は就寝の2~3時間前までに済ませておくのがよいでしょう。
引用元:ヘルスケア大学
まとめ
今回は睡眠の基本的考え方を勉強してみました。睡眠は量より質であることが良くわかりました。「ボルダリング」→「質の良い睡眠」→「成長ホルモンの正常な分泌」→「超回復」というながれでどんどん強くなっていくのですね。このサイクルをできるだけ短くすることによって、「週三回クライミングを行う」という強くなる法則を実現できるのです。と、ここまでは理論だけの前置きです。次回は本題、さらに「質の良い睡眠」を得ることができる快眠グッズを紹介します。
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