当ブログにご訪問していただき誠にありがとうございます。今回はクライミングそのものから少し離れまして”一つの問題”について書こうと思います。この1ヶ月間更新が滞った理由でもあり、当ブログ閉鎖までも考えた事案でもあります。それは「外岩クライミングをした際、動画やHP等で攻略した課題の詳細を公開する」という行為の是非についてです。当ブログはご存知の方も多いかとは思いますが、先月ネット上に”晒される”という憂き目にあいました。その理由が上記であり、筆者の外岩攻略ページに対する批判的な内容での”晒し”でした。しかもその”晒す”という行為をされた方が意外にも筆者のクライミングジムの先輩の知り合いというご近所さんだったということも発覚し、さらにショックを覚えました。こういったブログを始めるにあたり、少々の批判をされることは覚悟していたつもりではあったものの、実際晒されてみると意外に精神的に参るものです。しかし、ヘコんでばかりはいられないので、このブログを運営していく上で考えなくてはいけないところと思い何故このような事になったのか。そして今後ストレスなくクライミングを続けていくにはどうすればよいか考えました。
攻略した課題の詳細を公開することの是非
クライミング界では初めての課題を一撃で完登する”オンサイト”という考え方が大変重要視されており、公式大会等においてもトライ数と完登数でリザルトが決まります。もし、他者のクライミングを見た後で完登しても、それは”フラッシュ”となってしまい、”オンサイト”と比較すると1ランク下になってしまいます。何度もトライを重ねようやく登れた課題は”レッドポイント”と言います。つまり、外岩を攻略するに当たってネット上で情報収集した課題を現地に行って一撃で攻略したとしても”オンサイト”とはならず、”フラッシュ”となってしまいます。そして外岩の課題は一度手をつけてしまったら”オンサイト”の権利は未来永劫消滅してしまうのです。今回当ブログが晒された原因はまさにここにあり、クライマーの”オンサイト”の権利を奪ってしまう行為として筆者は批判の的となった訳です。筆者から言わせると「見なければ良いのでは?」と思ってしまうのですが、公開することによって課題そのものの価値を落としてしまうというのが、公開否定者側の言い分のようです。つまり、公開してしまうと「誰が見ているのかわからない」状況になり、見ていても見ていないと言い張って”オンサイト”と言えてしまう。クライミングは自分との闘いであり、課題と自分自身が向き合って、自分の実力だけで完登してこそクライミングである。と言いたいのでしょうし、それは筆者も理解できます。課題を詳細に解説してしまうとこういった問題も発生してしまうことを筆者自身が想定していなかったことが最大の問題だったと思います。
YOU TUBEの存在
クライミング動画を撮影する最初の目的は完登の証拠を残すとうことから始まっています。クライミングとは本来2人1組でのスポーツであり、リードクライミングが主体のスポーツで完登の証拠はビレイヤーの証言と本人の証言が主体でした。リードクライミングの練習としてボルダリングが始まり、1980年代には数多くのボルダーが開拓され、2000年に入ると動画撮影で完登証拠を残すという方法に次第に遷移していきました。近年撮影用機材の高性能化・低価格化が進み、誰でも高画質なクライミング動画を撮影することが可能となり、SNSやYOU TUBEなどのインターネット媒体も手助けし、飛躍的にクライマー間の情報伝達が進歩しました。日本のボルダリングスポットの課題は未公開エリアを除いてはほとんどがYOU TUBEで閲覧することが可能となっています。筆者も最初はYOU TUBEで公開されているから攻略ページを公開することに何の躊躇いもありませんでした。YOU TUBEを見た時点で”オンサイト”の権利は消滅しますから。つまり、公開否定者側の言い分としてはYOU TUBEはOKで個人ブログでのさらに詳細な攻略ページはNGということなのでしょうか?
筆者の個人的な考え方
クライミング界に入ってまだ1年程度の新参者である筆者の個人的な考え方を記したいと思います。諸先輩方から非難を浴びるのは承知の上で敢えて記します。批判・中傷・ご意見、いづれも大歓迎ですので、是非ともコメントしていただければ幸いです。
筆者はクライミングが大好きです。初めてまだ1年程度ですが、一生続けたいと思っています。それ位の魅力がクライミングにはあると思いますし、今後クライミング人口はもっともっと増えていくと思います。2020年オリンピックでも追加種目に決定し、それまでには筆者も一人前のクライマーになっていたいなと思います。しかし、他のスポーツと比べてクライミングはメジャーになってからの歴史が浅い分、初心者に厳しいスポーツであると筆者は感じています。もちろんクライミングジムに行けばジムのインストラクターや先輩クライマーに教えてもらいながら楽しく成長していけるのですが、外岩になるとそうもいきません。微妙な体使いのコツや、教えてもらわなければならないコツは初心者が探り当てるのはかなり困難です。先輩クライマーにいつも同行してもらわないと分からないことだらけです。かといっていつも一緒に行って貰うわけにもいかないので、できるだけの情報を集めて少しでも予習をしたいというのが本音です。「予習をしたい」という気持ちがどこからくるのか。それは時間は有限だからに他なりません。現代人にとって時間は有限であり、生きるためにその時間を報酬と引き換えに切り売りしています。人生の大半をお金を得るための仕事に費やします。クライマーはその中のほんの限られた時間だけをクライミングにかけているのです。「外岩に行く」という行為はアプローチにも時間がかかりますし、お金もかかります。効率よくいろいろな課題に挑戦したいですし、やはり完登したいものです。課題の中にはフィジカルで対応できるものもあれば、コツがわからないと登れないコツモノ課題など、色々なタイプが存在し、登れる人が現地にいればわかるでしょうが、居なければ自分で解決するにはかなりの時間がかかるでしょう。だからクライマーは「予習」がしたいのです。
当ブログの基本的方向性
最初は自分が攻略した課題を忘れないようにするためのメモ的な攻略ページでしたが、マイナス反応が大きかったため閉鎖も考えました。しかし、効率良く課題を落としたいと思っている方に少しでも情報を提供できれば筆者としてもやっている甲斐があるので、攻略ページは今まで通り継続します。今後公開する攻略ページには「ネタバレ注意」と記載し、オンサイトにこだわるクライマーの方は閲覧しないようにお願いします。
毎回更新されるのを楽しみにしていました。
今回の件は残念な事ですね。You Tubeには外岩の完登動画なんてたくさんアップされているし。
いろいろなクライミングのネタのこのブログは好きです。これからも楽しい記事を期待しています。